
海馬CA3領域数理モデルの創作について
『時の流れのギャスケット』の作中、海馬CA3内での情報処理メカニズムが詳細に語られています。
一連の理論の始点となるのは神経科学者黒川が構築した「相互作用同時性の検出機構」で、AMPA受容体とNMDA受容体の組み合わせによって真偽判定をともなう演算処理が行うことが可能な仕組みになっています。
それをさらに応用数理学者フリーマンが数理モデルとして発展させ、経路誘導(path guide)という概念を導入した、という設定になっています。
経路誘導とは、神経回路網のつながりかたを、命題関数の合成、あるいは上層への統合体(下層への分岐体)として表現し、さらに回路内の要素間の伝達効率を確率により表現したものです。
CA3の回路網は、局所的にはツリー構造、大域的には複雑なフラクタル構造になっていると想定され、その構造での神経系のふるまいをモデル化するため、スケール変換および要素間相互作用の自由度補正を組み合わせ、スケールに依存しない普遍的な構造を読み解いてゆきます。
さらに、構造内の特定の要素(または集合)を中心に置き、accessibilityの高い順に放射状に配置したものを「放射状カテゴリー」と呼びます。
集合に「近傍」に関するデータを付加したもの、とはすなわち「位相空間」です。
つまり、海馬CA3において形成される記憶情報は、位相空間の世界の中でその性質を議論することができ、直感的には明らかでも証明困難な問題を扱うことが可能になります。
以上、作品内で取り上げられたCA3の数理についての概観でした。
作中で繰り広げられている議論を、ぜひ皆さんの手で深めていってほしいと思います。
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