HTM講座第18回「集合の大きさを測る」

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2025/05/30 06:22

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前回まで、複数回にわたって集合を使った数の作り方をレクチャーしました。

今回は「集合の大きさを測る」という少し不思議な話をしていきます。

 

さて、自然数( ℕ )→整数(ℤ)→有理数(ℚ)→実数(ℝ)という流れで数を作る体験をしていただいたわけですが、自然数も整数も有理数も実数も、無限に存在しますよね。

 

どれも無限に存在するから、それぞれの集合の大きさは同じ・・・?

それとも、同じ無限でも「大きさ」は異なるのでしょうか?どうやって証明すればいいのでしょう?

 

それに、自然数や有理数は数の一つひとつをピックアップして列挙できますが、実数は数えることはできませんよね。

数えられないものの大きさをどうやって測るか。また、数えられる集合と数えられない集合の大きさをどうやって比較すればいいのでしょう。

 

そこで今回登場するのが、「カントールの対角線論法」です。

 

◆カントールの対角線論法

◆STEP1:[0,1] 区間内の実数を小数展開⇒自然数で番号をふった「実数リスト」を仮定

実数 [0,1] の間にある数を、すべて自然数で“対応付け”できると仮定します。
つまり、すべての実数をずらっと「順番に並べることができる」と仮定するわけです。

たとえば、
実数のリストをこう作ったとしましょう:

1番目:  0.123456...
2番目:  0.987654...
3番目:  0.141592...
4番目:  0.333333...
5番目:  0.271828...
...
このように、小数展開で表した実数を、1列に並べたという状況を考えます。
(注:実際にはすべての実数を並べることはできませんが、仮に並べられたら、と仮定するのがこの証明の出発点です)

 

◆STEP2:各小数第n位を集めて「対角線」を作る

そして、このリストの小数第 n 位の数字を、n 番目の数から取り出してみます:

番号    実数(小数展開)    第 n 位
1番目    0.123456...       1
2番目    0.987654...       8
3番目    0.141592...       1
4番目    0.333333...       3
5番目    0.271828...       2
...    ...    ...

→ このようにして、行列の「対角線」上の数字列を取り出します:

d = 1, 8, 1, 3, 2, ...

 

◆STEP3:新しい数xの構成

この対角線上の数字を、それぞれひとつずつずらして「別の数字」に変更して、新しい数xを作ります。

例: 1 → 2, 8→ 9 など

x=0.29243... 

(ひとつずつずらす方法じゃなくても、各桁の数を変える方法は何でもOK!元の桁と違えば大丈夫)

 

◆STEP4:結果、この x はリストに存在しない!

この新しい数 x は、リストの中のどの数とも異なるはずです。
よって、そもそも「実数を列挙すること」は不可能!ということが証明されました。

 

◆つまり何が言える?
「もし実数がすべて順番に並べられるなら、そのリストから“必ず漏れてしまう実数”が存在する」

これは矛盾です。
したがって──

●結論:
実数は、自然数で数え上げることのできない集合(非可算集合)である。

この対角線論法が意味しているのは、どんな列挙方法を選んでも必ず抜け落ちる実数が存在するということです。

自然数の集合も実数の集合も「無限」ですが、自然数と対応させる形で実数を「すべて」網羅することは不可能。

ということで、実数の集合ℝは、自然数ℕの集合より濃度が大きい、ということがわかります。

 

【まとめ】

集合の「濃度(カーディナリティ)」を比較すると次のようになります。


・ℕ, ℚ は同じ濃度(可算無限)

・ℝ はそれより大きい(非可算無限)

・ℝ の濃度 = 連続体の濃度(𝑐)> ℵ₀(自然数の濃度)

 

以上、お疲れさまでした!今回で集合論に関するレクチャーは完了です。

なお、次回以降のレクチャーはまた別の機会に別媒体で提供する予定ですので、この講座は今回まででいったんお休みとさせていただきます。

 

また、どこかでお会いしましょう!

 

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