HTM講座第16回「ZFCで数を作ってみる(中編)」

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2025/05/25 06:25

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前回、ZFCを使って、自然数( ℕ )→(順序対・写像)→整数(ℤ)

という手順で、数を手作りする体験をしていただきました。

 

今回はその続きで、残りの有理数(ℚ)、実数(ℝ)のうち、有理数(ℚ)まで進めましょう。

 

◆ Step 3:有理数(ℚ)の構成

有理数は、最終的に「整数の比」の形として定義できるようにすると、よさそうですね。

以下、手順を分解して進めます。


【1】「整数」と「ゼロ以外の整数」のペアを作る。

まず、ℤ × (ℤ \ {0})という、整数と「ゼロ以外の整数のペア」を作ります。

※「ℤ \ {0}」は、ゼロ以外の整数を表します(分母がゼロになるのを防ぐために必要です)。

そして、 (a, b) ∈ ℤ × (ℤ \ {0}) は、 「a / b」という形式の分数を表すものとします。

例:

(1, 2) は 1/2 を意味する

(−3, 4) は −3/4

(6, 3) は 6/3(→でもこれは 、「2」 と等しいものとしたい)

【2】同値関係の定義:

記号「∼」を使って、有理数の同値関係(3/6=1/2などの分数の等価性)を定義します:

(a,b)∼(c,d)⟺a⋅d=b⋅c

ペア (a, b), (c, d) に対して、これらが等しい比を表す分数となるように整えると:

a/b = c/d ⇔ ad = bc

これで、分数の基本的な性質を表す構造を作ることができました。

【3】ℚ := ℤ × (ℤ \ {0}) / ~ :同値類の集合を作る 

同値関係でまとめられた同値類を作ります。

(「/ ∼」 は、「等しい比となるペアを集めて、1つの要素にまとめる」ことを意味します)

これで「同じ比を表す複数の分数表現」が、すべて1つの分数表現(a/b)に収束され、1つの有理数として扱われるようになります。

例:

1/2 = 2/4 = 3/6 = …
⟹ [(1,2)] = [(2,4)] = [(3,6)]= …(これらをまとめて1/2とする)

−3/4 = 3/−4 = −6/8
⟹ [(−3,4)] = [(3,−4)] = [(−6,8)]= …(これらをまとめて−3/4 とする)

 

これで、

ℚ := ℤ × (ℤ \ {0}) / ~

という、有理数(ℚ)のセットを作ることができました。

ひとことでまとめると、有理数 ℚ は、整数のペア (a, b)(b ≠ 0)から構成される「分数の等価類」と言うことができます。

 

自然数( ℕ )→(順序対・写像)→整数(ℤ)→有理数(ℚ)

ときて、あとは実数(ℝ)を残すのみです(次回につづく)

 

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