
HTM講座第16回「ZFCで数を作ってみる(中編)」
前回、ZFCを使って、自然数( ℕ )→(順序対・写像)→整数(ℤ)
という手順で、数を手作りする体験をしていただきました。
今回はその続きで、残りの有理数(ℚ)、実数(ℝ)のうち、有理数(ℚ)まで進めましょう。
◆ Step 3:有理数(ℚ)の構成
有理数は、最終的に「整数の比」の形として定義できるようにすると、よさそうですね。
以下、手順を分解して進めます。
【1】「整数」と「ゼロ以外の整数」のペアを作る。
まず、ℤ × (ℤ \ {0})という、整数と「ゼロ以外の整数のペア」を作ります。
※「ℤ \ {0}」は、ゼロ以外の整数を表します(分母がゼロになるのを防ぐために必要です)。
そして、 (a, b) ∈ ℤ × (ℤ \ {0}) は、 「a / b」という形式の分数を表すものとします。
例:
(1, 2) は 1/2 を意味する
(−3, 4) は −3/4
(6, 3) は 6/3(→でもこれは 、「2」 と等しいものとしたい)
【2】同値関係の定義:
記号「∼」を使って、有理数の同値関係(3/6=1/2などの分数の等価性)を定義します:
(a,b)∼(c,d)⟺a⋅d=b⋅c
ペア (a, b), (c, d) に対して、これらが等しい比を表す分数となるように整えると:
a/b = c/d ⇔ ad = bc
これで、分数の基本的な性質を表す構造を作ることができました。
【3】ℚ := ℤ × (ℤ \ {0}) / ~ :同値類の集合を作る
同値関係でまとめられた同値類を作ります。
(「/ ∼」 は、「等しい比となるペアを集めて、1つの要素にまとめる」ことを意味します)
これで「同じ比を表す複数の分数表現」が、すべて1つの分数表現(a/b)に収束され、1つの有理数として扱われるようになります。
例:
1/2 = 2/4 = 3/6 = …
⟹ [(1,2)] = [(2,4)] = [(3,6)]= …(これらをまとめて1/2とする)
−3/4 = 3/−4 = −6/8
⟹ [(−3,4)] = [(3,−4)] = [(−6,8)]= …(これらをまとめて−3/4 とする)
これで、
ℚ := ℤ × (ℤ \ {0}) / ~
という、有理数(ℚ)のセットを作ることができました。
ひとことでまとめると、有理数 ℚ は、整数のペア (a, b)(b ≠ 0)から構成される「分数の等価類」と言うことができます。
自然数( ℕ )→(順序対・写像)→整数(ℤ)→有理数(ℚ)
ときて、あとは実数(ℝ)を残すのみです(次回につづく)